1限の授業が終わると、Sさんが教室に入ってきた。授業が終わるのを、廊下で、待っていてくれたようだ。
「先生、JTBに合格しました。昨日、すぐに研究室に報告に行ったんですけど、いらっしゃらなくて、今日、報告にきました」
うれしいね~。おめでとう。やったね。
Sさんとは、このHPの第324回目に登場するSさん、その人である。
「エントリーシートに先生のことも書いちゃいました。面接でも、いろいろ話しちゃいました。
『ヨーロッパ地理の旅』や『アジア地理の旅』の話もしました。いろんなこと聞かれて・・・。実際に行っておいて、よかったです。」
Sさんは、2年生。今年、国内旅行業務取扱管理者の資格試験に合格した。そして、希望していた旅行会社の入社試験にも見事、パス。
なんとも、いい気分である。
さっそく授業のなかで、1年生に報告した。
「日本で一番古い観覧車は、名古屋のデパートの屋上に・・・」
ということを、ずいぶん前に何かで読んで、気になっていた。
「デパートの屋上に、日本で一番古い観覧車があるらしいのですが・・・?」
先週、名古屋に仕事で出張する機会があった。そのとき、宿でチェックインする際に、フロントのホテルマンに聞いてみた。
初めは、《エッ、知らないな。そんなのあったっけ~?》ってな感じだったが、カウンター内の同僚と話をしているうちに、
《もしかしたら》、と思ったらしく、
「Mデパートの屋上にある、あの小さい観覧車ですか・・・」
と、なった。
「そう、それ、たぶん、それ」
で、翌日の昼食時に、小雨降る中、そのデパートへ歩いていくことに・・・。
交差点で信号が変わるのを待つ間、Mデパートの屋上を見ると、その隅に、観覧車の一部が見えた。「あった」。
デパートに入り、そく、エレベーターに乗った。
客は、ぼく、一人。
Rのボタンを押すと、エレベーターガールが、
「屋上へ行きますが・・・?」
と、言った。雨の中、何で、いい年をした男が、屋上なんかに行くんだろう、ってな感じに思われた?
「はい、屋上で結構です」
エレベーターを降りて、外へ。
あった。小さな観覧車が、屋上の隅っこに、あった。
動いては、いない。人も、いない。が、古い形の、昔懐かしい観覧車が、9台、ぶら下がっていた。
「おまえ、よくも今まで、こんなところに残っていたな~。頑張ったな~」
と、ちょっと、いい気分に・・・。
デパートの屋上は、昔は、もっともっと、賑わっていた。メジャーだった。
アイドル歌手の新曲発表会なんかも、都会のデパートの屋上で開かれたりした。
そんなことを、思い出したりして、若干、感傷的な気分になって、小雨降るデパートの屋上を一人で、30分ほど、ぶらぶらと・・・。
エレベーターに乗って、下りるとき、
「あの観覧車、乗るのは、いくらなんですか?」
と、聞いてみた。
「動いてませんけど・・・」
と、即座に。
話は、これで、終わり。
「いつまで動いていたんでしょうか」
なんて、聞く雰囲気ではなかった。
名古屋の中心地、名古屋市中区・錦通に面して、建物にへばりつくように、観覧車「スカイ ボート」が立っている。
こっちは最新型の観覧車。あのデパートの屋上にあった旧式の動いていない観覧車とは、道路をたったひとつ隔てただけのところに立っている。
夜、食後の散歩ついでにこの観覧車のそばにやってきた。ごく自然に、その観覧車の乗り場へ向かうことに・・・。
「観覧車の入り口は?」
「3階です」
エスカレーターで3階に上って、入り口へ。料金は500円。
「どのくらい乗るんですか」
「15分です」
券売機かと思ったのは、500円玉への両替機。500円玉をひとつ用意して、それを、投入し、一人ずつ回転式の入り口を通り抜ける。
観覧車に乗る前に、「写真を一枚お撮りします。お買いにならなくてもけっこうです。買うかどうかは、おりてから出口のところで・・」
ってなことを言われ、では、と、乗る前に記念写真を一枚撮ってもらう。
観覧車は、最新型の四人乗り。映画館の座席についているのと同じような、飲み物を置くスペースもある。エアコンも効いている。
高さは、「50mぐらい」かな、というところ。
最上部から、名古屋の夜景を楽しむ。下を見ると、Mデパートの屋上に、あの観覧車。
観覧車が降りてくると、客の視線をビルの方に向けさせないような工夫がしてある。
「どんな工夫が?」
それは、乗って、自分で、確認を。
観覧車から降りると、出口のところで、係員が記念写真を持って待っている。
「いくら」
「1000円です」
「高いね」
でも、買うことに。
日付入り。
先ほど撮られた写真が二つ折りの厚紙の右側に挟まっていて、左側には観覧車の昼と夜の写真が印刷されている。
買った決め手は、観覧車の情報が書いてあったこと。
この観覧車ができたのは、2005年の2月。ゴンドラの数は、28。一回りするのに、15分。高さは52m、とあった。
「50mと52m。2mの誤差とは、すごいですね~」
と、同行した本学のNさん。
この春、ニースで乗った移動遊園地の観覧車の高さが50mだった。だいたい同じくらいの高さに感じたので、「50m」、と言ったまでのことだ。
*
今回の写真の舞台は、カンボジア・アンコール遺跡、バイヨンのレリーフ。
第一回廊の南面。戦いの勝利を祝う凱旋パーティの準備をしている様子が描かれている。

カンボジア・アンコール遺跡、バイヨンのレリーフ
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