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子ども学部からのお知らせ

子ども学部からのお知らせ
第1回東京成徳大学子ども学部 手作り絵本コンクールを実施しました
2010年08月23日

 幅広い領域から子どもについて学ぶ東京成徳大学子ども学部では、子どもの文化を視点にして子どもという存在にアプローチすることも行っています。特に、絵本に関しては附属図書館とも協力してその収集や研究に力を入れています。そこで、そうした学びの特徴と関連して、高校生と在学生を対象に手作り絵本コンクールを実施することになりました。


 

 第1回東京成徳大学子ども学部手作り絵本コンクールには、高校生と在学生から多数の作品の応募がありました。8月10日に5人の審査員による厳正な審査の結果、高校生の部で17編、大学生の部で7編の入選作が決まりました。
 応募してくださったみなさんは、創作絵本の出版が盛んになって以降の、いわゆる絵本世代の子どもたちだけあり、子ども時代から絵本をたくさん読んできたことがわかる作品が多く、審査をしている私たちも楽しむことができました。絵本は絵と文を中心に構成されるのが一般的ですが、仕掛け絵本が多かったことは、今の高校生や大学生が育った時代の絵本の世界の傾向を反映しているのではないかと思いました。総じて、優れた感性が発揮されたものが多く、秀作が多かったと思います。
 これからもたくさんの絵本を読み、創作を繰り返していくことで、一段と創作能力が高まっていくものと期待しています。


 

●講評
【高校生の部】
 高校生の部では、学長賞に茂手木千晶さんの『太陽のうた』が選ばれました。この絵本は不思議な絵本に仕上がっています。猫の視点から太陽を見ているものの、途中から視点が変わるところが絵本的な展開の面白さを感じます。自分で撮った写真をアレンジして絵本的に仕立てていますが、写真と文はもう少しミスマッチがあってもよいかもしれません。絵本をめくっていくにしたがい、ドラマがどのようにできていくのか、楽しめて上手にできていると思います。タイトルも明るくてよいと思います。表紙はまだまだ工夫の余地があるのではないでしょうか。
 子ども学部賞は小川紗季さんの『やわらかえほん』が選ばれました。手の込んだ力作です。特に表紙のデザイン、色の使い方は秀逸です。カラフルで柔らかで、本のテーマとデザインが見事に一致しています。時計の次から、あいうえおの順に子どもが好きなものが展開され、最後に全部広げると布製の小物を手にとって面白い遊びができる仕掛けになっていて、幼い子は十分に楽しめる工夫がされています。この遊びの部分は、遊ぶ子どもごとに自由に物語を作り出せそうな展開になっているところもよいと思います。


 

【大学生の部】
 大学生の部では、学部長賞に増田文平さんの『いちばんたいせつ』が選ばれました。表紙はこのままプロの作品として使えそうなくらいのレベルです。初めから三見開きまでは、プロの作品かと思うほどのデザインと感覚です。文字と絵のバランスもよく、今後の可能性を感じさせます。カラーを用いたあたりから急に理屈っぽくなり、それまでの展開の妙がなくなって説教くさくなっていくところは残念です。ナンセンスを追求するなら、セオリーを度外視して読者の読みを巧みにはずしていくことに徹したほうが面白いものに仕上がると思います。この作者の絵の持ち味を考えると、絵を中心にした絵本作りを追求したほうが作者の個性がより光ると思います。
 子ども学部賞は大嶋愛美さん他5名の合作になる『ここはなんのせかい?』が選ばれました。絵本は感覚を見る人に喚起させるものですが、この絵本は子どもの感覚に呼びかけているところが評価できます。子どもはこの絵本をめくっていきながら様々な感覚を味わえると思います。ただし、プロの作品の場合、ただ様々な感覚を並べるのではなく、ページをめくるごとに流れができているものです。この絵本の場合、ただ感覚が羅列されている感じで展開がないところが残念です。
 審査員特別賞には新井沙紀子さんの『かげぼうとぼく』が選ばれました。この作者は絵がとても上手なところが評価できます。特に画面の構成や人物の配置などは秀逸です。文章をもっと刈り込んで短くし、絵に語らせることを心がけた方がよいでしょう。絵と文がぶつかり合って、そこから独特なダイナミズムが生まれてくるような演出があるといいですね。影という主題はこれまでにたくさん絵本化されています。同じように、金子明子さんの傘という主題や佐藤志保さんの天使もこれまでにたくさん絵本化されています。金子さんも絵のセンスをとても感じますが、ありがちな主題を選ぶ場合、今までの絵本を徹底的に読んで参考にしながらも、これまでの絵本にはなかった魅力を追求しなくてはなりません。数多くの絵本を読むことがよい絵本を作る土台になります。


 

 以上、高校生の部と大学生の部の主な作品への講評を記しました。今回応募いただいた作品をさらに磨き上げて、よりよい作品に作り直す、ということにも挑戦してみてください。応募くださった作品のすべてに、作者の個性や可能性を感じることができます。ぜひみなさんが持つ可能性をこれからも追求し続けてください。

2010年8月22日
東京成徳大学手作り絵本コンクール審査員
 深谷昌志 (審査員長)
 野上 暁
 桑垣里絵
 小野 和
 加藤 理