●産業構造とは、ある国ないし地域において、さまざまな産業がどのように組み合わされているかという産業部門の構成のあり方のことです。代表的な見方として、産業を第一次・第二次・第三次産業に分類する方法があります。「日本標準産業分類」によると、具体的には以下のようになります。
第一次産業(農業、林業、漁業)
第二次産業(鉱業、建設業、製造業)
第三次産業(サービス、情報通信、金融・保険、不動産、卸売、小売、医療、福祉、教育など)
●ペティ=クラークの法則というものがあります。これは、経済が発展していくと産業構造が高度化していく、すなわち、中心となる産業が第一次産業から第二次産業へ、そして第三次産業へと移っていくというものです。
日本でもこのような産業構造の高度化の傾向が見られます。例えば、産業における就業者の割合を見ると(総務省資料:http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/sokuhou/03.htm)第一次産業の就業者の割合は一貫して縮小しています。第二次産業の就業者の割合は昭和50年までは拡大し、以後は縮小に転じます。第三次産業は一貫して拡大し、昭和50年にはついに半分を超え、平成17年には67.3%にまで拡大しています。いまや、日本で働く人の三人に二人が第三次産業で働くようになっていることになります。
●産業構造の変化は、社会のあり方にさまざまな影響を及ぼすことになります。例えば、大学もその例外ではありません。
最近、大学教育では「コミュニケーション能力」の育成が重要視されるようになっています。その理由として、地域社会や家族の崩壊が進むなどで、対人関係を苦手とする若者が増えているというようなことが言われます。それらも何らかの関係があるかもしれません。
しかし、経済学的に見るとそれ以上に重要なのは、上記のようにサービス、医療、福祉、教育などの第三次産業が拡大したことではないでしょうか。
これら産業では、工場での単純作業に代わって、生身の他人と直接向かい合って行う仕事や、会議のために企画立案のための書類を作ったりプレゼンテーションを行ったりという知的な労働が増えています。これらをうまく行うためには、対人関係をうまく取り結ぶ能力や、情報収集・企画立案・プレゼンテーションなど知的なコミュニケーション能力は、従来よりもはるかに重要になってきています。
産業構造の変化は、大学教育のあり方についても、大きな影響を与えていると言えるのです。
(長谷部孝司)