就職試験には学力試験があります。キャリア関連の講座を担当していて久しぶりに中学レベルの数学の問題を解くことになりました。わたし自身数学はどちらかと言えば苦手で入試では常にネックになっていたので答えを解説するのも冷や汗ものです。
それにも増して、学生の数学に対する苦手意識は強烈で、問題用紙を配ると悲鳴に近い声があがりました。段階を追って解説していくと、つまづく箇所も様々なことが見えてきました。あちらこちらから聞こえてくる「わかんない!」という声を聞き、各々の学生の行き詰まりに慌ただしく対応しながら、中学高校でどれだけの生徒が内容を理解できないまま何百時間も黙って授業を受け続けているのかと思うと暗澹たる気分になりました。
これだけ学習に苦手意識の強い学生が多くなると一斉授業での解説では意味を成しません。試験対策では「学びの共同体」にヒントを得て、小グループでの学習を活用しています。ランダムに作った四人組で机を合わせて座り、問題を解きます。最初は互いに顔なじみではないための戸惑いもありますが、次第に教え合う声が聞こえてくるようになります。
中には数学が得意で他の学生の何倍も速く正答を導き出せる学生が何人かいます。それらの学生がフォローに回ってくれたおかげで、最近ではクラス全体に少しずつ「わかった」「できた」という雰囲気が満ちるようになってきました。
「学びの共同体」づくりでは、小グループでの学習活動が重視されます。しかし、もともと学力の高い生徒からは、なぜ自分の時間を割いてまで、他の生徒をフォローしなければならないのかと不満の声があるのも確かなのです。講座にグループ活動を導入するにも不安はありました。他の学生のフォローに回ってくれる学生達には大いに助けられていますが、自分の就職対策と考えるとこうした活動に不満を抱く学生も出るのではないかという思いはぬぐい切れませんでした。
最近参加した「学びの共同体」推進校での研修会で聞いた講師のことばは、この不安を大いに和らげてくれるものでした。小グループでの活動に対して呈された例の疑問に対して、講師はこのように言いました。わかる喜びを共有できるということ、一緒に喜べる友がいるということはなにものにも代えがたい宝ではないか、と。
「共生とコミュニケーション」を標榜する本学の学生は、支え合い・チームワークにおいてもっとアピールできる強みを持っているのではないでしょうか。「僕達も学ぶことが多いですから」と講座で支えに回ってくれる学生達、また、その支えでこれまで超えられなかった何かをひとつずつ超えていく学生達を見ていると、そう感じるのです。
(神谷純子)