12月15日、日本伝統文化学科は畠由紀さん(国際交流基金舞台芸術専門員)をお招きし、「アジアの舞台芸術を作る」と題する講演を行いました。
お話はまず、アジアの現代的舞台芸術を紹介するため、演劇の実状調査から始めた1990年代のこと。フィリピンのミュージカル「エル・フィリ」に出会い、鮮明とは言えないビデオにもかかわらず、すばらしさを直感した瞬間を語り、日本公演を実現したことを話されました。自分の言いたいことが表され、自分のものであることを実感する、心に残っている作品ということで、私たちも映像を見せてもらい、高レベルの舞台を堪能しました。
また、アジア6カ国の人々が共同制作した「リア」について、構想から企画、制作、公演に至るまでの過程を話されました。まず演出家を選ぶことから出発し、ひとつの作品を上演するまでに、地味な作業がどれほどたくさん積み重ねられてきたかがうかがえました。能役者、京劇俳優など、固有の技法を基礎に、多数の言語をやり取りしていく映像はエネルギーに満ち、妖しいまでの魅力をたたえています。
最後に、講演直前まで出張されていた中央アジア・コーカサス巡回音楽公演で、奄美シマ唄とウズベキスタン歌手との、奇跡のような即興デュエットが起こった映像を見せていただき、音楽で心を通わせるすばらしさを体感しました。
アジアの舞台芸術制作の最先端を切り開き、大きな実績を上げてきた畠さんはさいごに、舞台芸術を制作する上で最も大切なことは、自分が何をしたいのか、何を見せたいのか、何を考えてもらいたいのかをはっきりさせることだと述べられました。私たちが文化マネジメントを進めるうえで大切なことを学んだ講演会でした。
(日本伝統文化学科 奥山けい子)