公開講座「松本清張と古代学-清張生誕100年-」
松本清張は今年生誕百年を迎える小説家五人(他の四人は大岡昇平・太宰治・中島敦・埴谷雄高)の中で、最も多くの読者をもつだけに、出席者の数も九〇名を数え、皆さん最後まで非常に熱心に聴講して下さった。
約四〇年間の作家活動で、長短合わせて千編以上の作品を発表した松本清張の世界は多彩を極める。古代史に関する分野は、現代史と並んで終生強い関心を持ち続け、多彩な作品が書かれたが、その根幹には天皇制をめぐる問題意識がある。
今回の講座では、専門研究者とのきわめて高度な内容の往復書簡や、詳細な創作ノート類、多岐にわたる読書ノートなどを紹介しながら、スケールの大きな、そして大胆な仮説に基づく作品が構想されるプロセスの一端を垣間見た。
(日本伝統文化学科教授 増尾伸一郎)