公開講座「富士には、月見草がよく似合ふ ―太宰治生誕100年」 10月3日(土)
太宰治は、昨年に没後60年を、そしてつづく今年は生誕100年を迎えた昭和前期を代表する作家です。その死から半世紀を超えても、なお読み継がれる太宰文学はどのような処に魅力があるのでしょうか。今、太宰治と彼の文学は、生誕100年というお祭り的な年という理由だけではなく、彼の文学の持っている本質的な面が注目され、多くの読者を獲得しているように思われます。
今回の講座では、中期の代表作として知られる「富嶽百景」をとりあげ、さまざまな富士への描写に注目しながら、主人公の自意識の有り様について考えてみました。新たな結婚生活の橋渡しをしてくれた師の井伏鱒二への手紙などを参照しながら、背景にある太宰治の実人生での出来事を知ることを通して、作品世界をより豊かに享受することを目指しました。
(日本伝統文化学科准教授 庄司達也)