平成20年3月に卒業した福祉心理学科の佐藤栄芳くんが法務省東京矯正管区(刑務官)へ就職決定しました。
そこで、佐藤栄芳くんの合格体験談をご紹介致します。
私が犯罪や更生保護に興味を持ち様々なことを学び始めたのは、大学に入学し、BBS(Big Brothers and Sisters movement)サークルに所属したことがきっかけです。BBSは、非行少年の良きともだちとなり、その兄、姉の立場から非行少年の立ち直りに協力するとともに、地域における非行防止活動等の更生保護活動の推進に協力している全国的な団体です。
私は、大学3年の時に高校進学を控えた中学3年生の少年のケースを保護観察所の依頼で受け持ったことがあります。依頼主として、勉強を教えることでしたが、その子の事を全く知らない、ましては学力もわからないということもあり始めはどのように接していけばよいかわかりませんでした。けれども学校、友達、趣味の話などをする中でそれを受け止め、自分が相手の考えや相手の気持ちを少しずつ感じ取れる事に気付いていきました。もちろん会えない時も多々ありました。この少年の事を全部知っている訳では決してありませんが、「時間」と「根気」、そして「思いやり」がお互いに大切であるということをこのともだち活動を通して学ぶことができたのです。
このように私は、大学生活の中で、ともだち活動を始め、社会参加活動等に共に参加した少年に接し、更生保護について学び、更生の道を歩む少年の思いを感じ取ってきました。そしてこれからも更生保護携わって行きたいと思っていました。
これと並行するように、4年になると周りの友達が、一般企業や福祉施設などへ就職活動をしていることを知り、焦っていました。私がこの時興味を持っていたものは、BBSで繋がりのあった、「保護観察官」「法務教官」でした。しかし、どれも国家公務員試験を受けなければならなく、そう簡単にはなれない職業です。その時は、勉強をしていなかったのでやはり試験に落ちてしまいました。それが夏前の話で、福祉の実習が始まることもあり、就職活動は夏以降何もせずにいました。
転機が訪れたのは、テレビで障害者がいる刑務所の特集をしている番組を見たことでした。そこで問題になっていることは、刑務所から釈放された障害者の身元引き受けがない現実でした。また高齢受刑者の中には、出所しても生活が苦しいため、また犯罪をして刑務所に戻ってくるというケースもあると聞き、とても衝撃を受けました。今では、高齢化社会とともに刑務所の高齢化に対応するために、中国地方で認知症高齢者等専用の施設もできるという新聞の記事も読みました。
日本はこんなに豊かな国なのになぜ刑務所生活のほうが良くて戻ってくるのであろうか?何が人々を再犯の道に向かわせてしまうのであろうか?そう考えたときに私が学んでいる社会福祉と刑務所が一気に線で結ばれたのです。
公務員試験を受け、9月の1次、10月の2次に合格することができ、4月からは刑務官として働くことになりました。大学でBBSとして活動していたとはいえ、まったく違った世界が待っているでしょう。不安もありますが、私は援助を必要としている人を相手にする仕事につきたいと思っていたので、がんばっていこうという気持ちでいっぱいです。援助を必要としているとはいえ、犯罪をした者は、決して許されません。しかし社会全体が、人が人として生きられない世の中に向かっているのならば、その問題を明らかにし、良い方向に持っていかなければならず、それが社会福祉の目的であるのではないかと考えます。社会に戻る時に少しでも明るい光が見えるよう、受刑者の更生の力になりたいと思っています。