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福祉心理学科からのお知らせ

福祉心理学科からのお知らせ
社会福祉実習体験記(10)
― 病院 ―
2010年06月09日

福祉心理学科 鞘木 琴美


 

 


 

 私は、病院で昨年10月下旬から11月にかけて4週間実習をしました。
 
 実習する前は、相談援助というのは、相談される方の問題を、制度などの社会資源を活用して解決を図ることと考えていました。しかし、実習中、相談される方との話し合いの中で昔の家族関係をたずねたり、自宅を訪問したり、死を見とどけたりという体験を通じて、その方の人生に深くかかわることでもあると気づきました。
 その気づきによって、医療ソーシャルワーカーの仕事について、やりがいはより強く感じられるようになりましたが、かかわった方の死の場面に立会い、遺族の悲しみやさまざまな感情を間近で見るのは、とても重いとも思うようになりました。

 いくつか忘れられないケースがあります。
 脳梗塞の後遺症で右片麻痺の70歳代の女性の方がいました。ほとんど寝たきり状態で、家族が心配して療養型への転院の相談に来ました。その時の相談で、家族の話を共感しながら傾聴して心配や不安を受容し、今すぐ転院を決めるのではなく今後のリハビリの状況を見て、一緒に考えていきましょうということになりました。その後、その方はリハビリに取り組まれ、歩けるようになって退院しました。とても感動しました。

 実習生として意識的にかかわった患者のことも忘れられません。
 この患者は、会話の中で、何についても常に自分の過去の失敗につなげて「俺、もうだめだよ」というような後ろ向きの発言を繰り返す方でした。
 この方と意識的に会話し、その会話を逐語記録しながら振り返るという作業を積み重ねていきました。その中で、どうすれば前向きに考えられるようになるか、いろいろ考え、工夫しながら会話していきました。その結果、実習終盤に、「次に会うときは歩けるようになっている」「退院したらこういう生活がしたい」という発言がありました。その変化に気がつき、驚くとともにうれしくなりました。

 実習は、病院という現場で、医療ソーシャルワーカーの仕事を実際に学ぶことができ、貴重な体験でした。“患者”とひと言で言いますが、実際は実にさまざまです。実習に行ってものの見方や考え方が変化し、成長した気がします。 (福祉心理学科)