「目の見えない子の能力開発」(市村操一・応用心理学部長の執筆)
西ドイツ・チュービンゲン大学からもう一話。
教授のガーブラー博士が、「大学では忙しくて落ち着かないから、家でコーヒーを飲みながら話そう」と言って、車を運転して大学から五分ほどの自宅に招いてくれた。
シュバルツバルトの山並みの見える居間で、二時間ほどおしゃべりした。
教授の目下の仕事は、目の見えない幼児と母親のための運動ゲームを開発することだ。
目の見えない子を持った母親は、子供の能力を過小に評価して過保護になりすぎるのではないかと、ガーブラー教授は考えている。
運動ゲームの開発は、子供の能力を伸ばすだけでなく、母と子の関係を改善し、母が子供の能力を正しく認識する機会を与えるものにしたいと言う。
この研究は、ベンツのメルセデスとIBMの援助によって進行中で、子供の成長を追いながら、六、七年は続ける計画だそうである。
目先の研究を忙しく追いかけている米国や日本の研究者とは違った行き方が、ドイツの研究には残っている。どちらにも長短はある。
運動の効き目をどのように測定すればよいだろうと考え込んでいたが、ガーブラー教授の研究の成功を祈りたい。読売新聞 1987-88年連載コラムより 「健康・スポーツ心理学」に関するもの。
***東京成徳大学では、現在、文部科学省へ、「健康・スポーツ心理学科」の設置を届出中です。