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臨床心理学科からのお知らせ

臨床心理学科からのお知らせ
@離婚で壊れる子どもたち―心理臨床家からの警告 「私のすすめる心理学新書本」
2010年03月03日

棚瀬一代 離婚で壊れる子どもたち―心理臨床家からの警告 光文社新書


3組に1組の夫婦が離婚する時代になりました。その数は年間26万件にものぼり、しかもそのうちの4割が乳幼児を抱えての離婚だそうです。

この本は、我が国における離婚の現状と離婚が子どもの発達にどのような影響を与えているかについて詳しく書かれています。

日本の場合は、単独親権制度が定着していますので、離婚後はどちらか一方の親を親権者に決めなくてはなりません。したがって、夫婦の別れは、子どもとの別れを意味しています。約8割は母親に親権が与えられるのですが、親権が与えられない父親はわが子との面会交流を求めて、調停申立をするケースが増えているそうです。

米国では、共同監護(養育)という制度が定着していますので、子どもの福祉のために面会交流は頻繁に行われています。離婚に際しては、親教育プログラムを受ける仕組みになっており、そのプログラムの内容としては、「離婚の子どもへの影響について知識を増す」「子どもを葛藤に晒すことを減らす」「両親のコミュニケーションを増す」「子どもの離婚への適応を促進する」「養育スキルを改善する」などの目標のもと、グループディスカッションやビデオ視聴などのサービスを提供しているそうです。

こうした単独と共同の親権制度の違いもありますが、日本における母親が子どもを連れて実家に帰るというのは米国では「拉致」として犯罪になるそうです。

また、子どもが親権者の母親の顔色やご機嫌を覗って、父親に会いたくない、というケースがよくあるそうです。これは、片親疎外(Parental Alienation Syndrome)という現象です。いつも一緒にいる母親が目の前にいると父親に甘えたくても甘えられないということや、母親の無意識な反応や様子を見て子どもが父親のことを嫌いになっていく現象です。場合によっては、母子が「二人組精神病」となっているケースもあるようです。

こうなってしまうと、日本の場合、そうした子どもが父親を拒否している現状を鵜呑みにして「夫と合わせるのは子どもの福祉にならない」ということで、夫と子どもの面会交流が写真や電話だけになるという判決も出ています。

父親の不在が子どもにどのような影響を及ぼすのかについては様々な研究がなされていますが、共同監護(養育)が子どもの発達に良い影響を与えるという結果になっています。

それにも関わらず、日本の法制度は改正されていません。両親の葛藤を解消するという短絡的な観点ではなく、子どもの福祉や発達について長い目で見なければならないと思いました。

(臨床心理学科 石村郁夫)