法則11
集中力は認知機能の改善に役立つ
外出したときに、ガスの栓を閉めたかどうか気になって仕方がなくなってしまい、用事を早めに切り上げて帰宅する。ところが家に帰って確かめると、きちんと閉まっているのを見て安心すると同時に、何か損をしたような気になる。こんな経験は誰でも持っているはずである。
その他に、施錠や窓を閉めたかどうか、しばしば提出する書類を今回もきちんと提出したかなど、いずれも決まりきったこと、手順化されてしまったことがしばしば気になるのは、あえてそれに注意を払っていないからである。
逆に言えば、注意を注いでやっていたことはよく記憶できるということになる。先のようなケースを防ぐには、指差し確認や、したことを口に出して復唱すればよい。そうすれば、多少は注意を引くので記憶にも残ることになる。かくして、記憶をよくするには集中せよということになる。
認知機能とは、物を見たり(知覚)、覚えたり(記憶)、考えたり(思考)、学んだり(学習)する働きである。認知機能が十全に働いているときには、知の世界には良質な情報がたまる。この認知機能を背景でコントロールしているのが集中力である。
本書では、認知機能のうち、思考との関係での集中力をとりあげた。しかし、質のよい思考を展開するためには、知覚も記憶も学習も、すべてフルに活動した状態にしなければダメである。
したがって、認知機能全体をコントロールする集中力がいかに大事な役割を果たしているかがわかる。
何度も繰り返すが、だからといって集中力だけを孤立させて、それだけのトレーニングにうつつを抜かすのは得なやり方ではない。それぞれの認知機能の訓練のなかで自然に体得するくらいがちょうどいい、ということを忘れないでほしい。