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研究活動の紹介:コンパッションの恐れについてーその①(石村郁夫准教授)


基盤研究B(科学研究費補助金)を受けて,コンパッション・フォーカスト・セラピーの臨床試験を行っております。

ほとんどの人が「コンパッション・フォーカスト・セラピー」を知らないかもしれません。わたしは,2010年前後に,この治療法に出逢いました。ちょうど,東京成徳大学の教員になって1年が経った頃です。

きっかけは,当時,心理学研究科長であった市村操一先生と勉強会をしていた時に,欧米で流行りはじめていた「セルフ・コンパッション」(自分への思いやり)という論文をちょくちょく読み始めたことがきっかけでした。

これが,カウンセリングや心理療法の中でどう活かされるのか?実際に,心理療法の中で活用している研究者はいないのか?ということがきっかけで,調べ始めました。

その中で,イギリスのダービー大学の教授であるポール・ギルバート博士が「コンパッション・フォーカスト・セラピー」という書籍を出していたことを知りました。

さっそく,その書籍を読んでみることにしました。そこから,勉強会で発表を重ねるたびに,「日本に紹介していきたい」という強い使命感を感じるようになりました。

だいぶ経った2014年に意を決してポール・ギルバート博士にメールを出し,デンマークでワークショップするよと誘われて,はじめてお会いした時のことを今でも覚えています。単身日本から来たわたしは3日間ケルテミンデ(オーデンセ)の湖畔で合宿所に一人ぼっちでした。ポール・ギルバート博士は,孤立していたわたしを輪の中に入れてくれました。

そこから,このコンパッションを日本の研究者や患者さんを含めた人たちに強く紹介したいと思うようになり,研究を開始しました。現在,セルフ・コンパッションやコンパッション・フォーカスト・セラピーの関連本を7冊ほど,出版させていただきました。

コンパッション・フォーカスト・セラピーを行ううえで,中にはいわゆる「治療抵抗(治療によって生じる抵抗)」が生じることがわかり,現在は,そのコンパッション・フォーカスト・セラピーによって生じる治療抵抗を緩和させ,コンパッション・フォーカスト・セラピーの効果を最大化するためにはどうすればいいのか?に関する研究を行っております。

詳しくは,「その②」でお伝えします。

(臨床心理学科 石村郁夫)
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