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国際学のすすめ

2019/05/09

3. グローバル化時代の言語景観 -フィリピンの多言語表示から見えること- (大和田 栄)

 多言語表示は日本国内でも多く見かけられ、このことがグローバル化の一つの表れであると考えることは十分に可能です。多言語表示は、在日外国人・訪日外国人の増加に伴い、その利便性を高める機能があることは疑いのないところでしょう。駅などの公共交通などでは、日本語(漢字やひらがななど)に加えて、英語(ローマ字表記などを含む)があるのはごく当たり前で、ここ数年では中国語にハングルの4つの言語が標準的となっていると言えます。もちろん地域差もあるので、多言語での表示が少ない場所もありますし、地域的な特性を反映し、ポルトガル語、スペイン語、ロシア語などが上述4言語に加えられたり、取って代わっていたりします。

 さて、フィリピンでは、街中などで、英語の表示とタガログ語(≒フィリピノ語)の表示をよく見かけ(フィリピノ語と英語が公用語)、同一趣旨の内容が記されているケースも多くあります。一方、主にタガログ語で表記されている場合や主に英語で表記されている場合もあり、状況等によって棲み分けがなされているケースもあります。(その他、二言語が混ざっているコードミキシングと呼ばれるような表示も散見されます。)

 次の写真はフィリピン・マニラで撮影したものですが、左側は英語でNO PARKING(駐車禁止)、右側にはタガログ語でBAWAL UMIHI DITOと記されています。このタガログ語は「小便禁止」を意味し、概ねタガログ語で表記されるのが普通です。つまり、言語を使い分けることで、メッセージを誰に届けようとしているのかという意図も見えてくる場合があるということになります。



 こういった「多言語表示」は、「言語景観」として調査研究の対象となっており、上述の地域差の問題、表現方法の違い、内容による言語の使い分けなど、さまざまな言語文化に関わる事実を提供してくれます。フィリピンのような状況は、日本でも見られます。普段から目にする多言語表示より、新たな発見をしてもらえることを期待しています。

(大和田 栄 教授)
 

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