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国際学会でベストポスタープレゼンテーション賞を受賞した大学院生 岸本久美子さん(博士後期課程3年)にインタビューしました


国際的な学会である East Asian Forum of Nursing Scholars(EAFONS※、東アジア看護学研究者フォーラム)が、本年4月に開催した『24th East Asian Forum of Nursing Scholars Conference 2021』で、ベストポスタープレゼンテーション賞を受賞した本大学院生の岸本久美子さん(心理学研究科博士後期課程3年)に、インタビューをしました。
※EAFONSとは、看護における質の高い博士教育の強化、促進と国際的な協力関係の構築、東アジアでの学術環境と社会化の構築を目的とした国際的な学会です。

岸本 久美子さん
(大学院心理学研究科後期博士課程3年)

岸本さんは、現在帝京平成大学のヒューマンケア学部看護学科で助教として教育・研究に携わる一方、2019年4月東京成徳大学大学院心理学研究科博士後期課程に入学されました。また、これまで看護師としても10年の臨床経験をお持ちです。本大学院入学後は、指導教員である西村昭徳准教授のもと、看護師のメンタルヘルスへの支援における、ポジティブな心理要因のストレス低減への影響について、日々研究しています。

Q.ベストプレゼンテーション賞のご受章おめでとうございます。受賞されてのお気持ちを教えてください。

初めての国際学会での発表ということもあり、びっくりしました。そもそも賞があること自体を知らず、またオンライン開催で受賞の場も無かったので、メールで知らせが届いたときには少し疑いました。

大学院の先生に伺い、そこで初めて賞であったことを認識できたことで、一応認めてもらえたんだなと思うことができました。ただ、通常であれば、関心のある方がポスターを見に来てくださって、質問があり説明するという直接のやり取りも、オンラインではチャット形式のやり取りだけだったので、どのくらい注目を浴びていたのかなどは、ちょっと実感がなかったです。

ただ海外の方から、「すごく大事な分野よね、すごく興味があるわ」とのコメントがあり、改めて世界で共通する看護の課題であることを感じ、だからこそ選んでいただいたのかな、とは思いました。

Q.岸本さんのこれまでのご経歴と本大学院への入学した理由などを教えてください。

京都大学医療技術短期大学部を3年で卒業し、京都大学医学部に編入、卒業しました。卒業後は、看護師として約10年の臨床を経験しています。その後に東京医科歯科大学大学院の修士課程を修了しましたが、修士課程に在籍する間も看護師を続けていました。現在は、帝京平成大学のヒューマンケア学部看護学科で教員をしています。

東京成徳大学大学院には2019年4月に入学しました。元々、看護師のメンタルヘルスに関する研究に関心がありました。修士課程でも多少触れましたが、さらに心理療法を探す中で、「コンパッション・フォーカスト・セラピー」を見つけ、そのセラピーを東京成徳大学の先生が研究していることを知り、相談したことがきっかけです。

マインドフルネス(瞑想による心理療法、セラピー)はよく知られるところですが、そのマインドフルネスの中には、コンパッション、つまり慈悲というものが出てきます。私はそのコンパッションセラピーを活用した研究をするため、東京成徳の先生から指導を受けたい、と思ったことが入学した理由です。

看護師によるバーンアウト(燃え尽き症候群)を、過去に自分自身で経験しました。看護師を止め、臨床を離れた経験から、看護師のストレスケア、しかも看護師自身が自分でセルフケアできるスキルの必要性を感じています。看護師は共感を求められますが、共感の使いようによっては疲労してしまいます。そういった感情による疲労は溜め込まず、共感満足を高めながら共感疲労を低減していく、そのような形でストレス軽減ができないかと考えています。

岸本さんが国際学会で発表したポスター
"Exploring the relationship between empathy,self-compassion,compassion fatigue,compassion satisfaction,and burnout among nurses in Japan"
※画像をクリックすると拡大表示できます

Q.「East Asian Forum of Nursing Scholars Conference」に学会発表されるまでの経緯を教えてください。

アジア圏における看護の国際学会で、看護の教育に携わる者には有名な国際学会です。アジア圏の看護学会が一緒に行っているので、人種が似ていることもあり、ここで発表できたら良いかな、と考えていました。また、看護の先輩方をはじめ、看護を研究する方の多くが、研究発表する国際学会のひとつであり、以前から一度は発表したいという気持ちがありました。

Q.今後の目標などがあれば、教えてください。

今回の調査結果を洋雑誌へも投稿し、海外の方にも新しい看護師のメンタルヘルス対策を伝えていければと考えています。受賞や海外の方からいただいたコメントから、海外でもセルフコンパッションや共感満足、共感疲労というキーワードは、とても多くの方が関心を持つものと分かりました。また、セルフコンパッションを使った研究は、看護でもまだ少ないこともあり、皆さんの興味を引いたからとも思っています。

それと、看護師を目指す学生に生かしていきたいです。彼ら彼女らが、臨床の場に出た時にバーンアウトしないように、早い段階からメンタルヘルスの対策が打てるようになればと思います。そのためにも、今回の学会で発表した調査結果もそうですが、私の研究や調査を学生に還元し、ひいては患者さんに還元してほしいです。

Q. 最後に、東京成徳大学の学生や受験を考える方へ、メッセージをお願いします。

いろいろな心理学の分野の先生方が揃っているイメージがあります。
大学によっては、心理の分野の中でも偏る場合もありますが、東京成徳はそうではなく、オールマイティに心理を学ぶことのできる学部・研究科という印象です。幅広く学べ、その中から自分が興味関心のある分野の心理をさらに深めていける、という良さがあると思います。私は知らずに入学しましたが、幅広い心理学の先生方が揃っていたという点は、とても良かったと思います。たぶん高校生や学生の皆さんは、まだ「心理学のこの分野を勉強したい」というのはあまりないと思います。だから、幅広く学べるというメリットは大きいと思いますし、その中で自分が興味関心のある分野を見つけることができるのではないか、と思います。

あとは、先生が優しいということですね。東京成徳には、名前の良く知られた先生方も多くいらっしゃいますが、皆さん怖い感じはしませんでした。心理の研究だけでなく、カウンセラーとして臨床で培った知識を持っているからなのか、とてもソフトな印象があります。キリキリすることなく、3年間を研究することができましたし、国際学会で受賞するという成果も出すことができたので、東京成徳で研究できたことは良かったと思っています。

インタビューを通じて、ご自身の看護師としての経験に基づいたメンタルヘルス、セルフコンパッションの重要性を、今そして将来の看護師に伝えたいという思いを感じました。そして、それは臨床の場で働く看護師、そして看護師を目指す学生を守りたいという強い思いがあるからこそと感じます。

改めて、岸本さん、ベストポスタープレゼンテーション賞のご受賞おめでとうございます。
東京成徳大学では、岸本さんの今後の更なる活躍を期待して、これからも応援していきます。

岸本さんと指導教員の西村准教授

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