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高校生の質問にお答えします⑤「カウンセリングは『心を癒すため』に行うものですか?」


2025年12月9日
このQ&Aコラムでは、毎回、高校生のみなさんからいただいた臨床心理学についての質問に、臨床心理学科の教員がお答えしていきます。

Q. カウンセリングは「心を癒すため」に行うものですか?

回答者:江口 めぐみ准教授
一般的に「癒し」とは、つらさが少し軽くなり、心がほっと落ち着く感覚を指します。心理カウンセリングというと、「悩みを抱えた人の心を,癒すためのもの」というイメージを持つかもしれません。けれど、カウンセリングの目的は『癒すことそのもの』ではありません。では、なぜ「心を癒すもの」だと感じる人が多いのでしょうか。そこにはいくつか理由があります。

まず、カウンセラーが否定せずに話を聴き、安心できる関係がつくられることで、相談に来た人の気持ちが落ち着きやすくなります。また、自分の中にたまった気持ちを言葉にすることで感情が解放され、心が軽くなることがあります。さらに、話す中で気持ちや考えが整理され、「なぜモヤモヤしていたのか」が分かることで楽になることもあります。こうした心理的な働きが重なり、結果として「癒されたように感じる」ことがよくあるのです。

しかし心理学の考え方では、カウンセリングの中心は「癒し」そのものではありません。相談に来た人が自分の気持ちや状況を整理し、自分らしい選択ができるように支援することが大切だと考えられています。癒されたと感じることがあっても、それは過程の中で生まれるものであり、中心にあるのは「理解」と「変化」を支えるプロセスです。

カウンセラーの仕事を知るうえでも、覚えておきたい視点です。

(臨床心理学科)
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