2025年12月16日

担当教員：塚田 知香准教授
コミュニケーションと聞くと「話すこと」を思い浮かべる人が多いかもしれません。でも、実は言葉を使わないやり取りもとても大切です。この授業では、ランダムでペアになり、「言葉を一切使わずに」1枚の絵を完成させるワークを行います。視線の交わし方や指先の小さな動きだけで相手に意図を伝えるのは、とても難しく感じるかもしれません。でも、うまくいったときの達成感は格別です。さらに、ペアになるときから言葉を使わずに相手を探します。見つけた瞬間の特別な嬉しさは、体験した人だけがわかるものです。

このワークは、心理学でいう「社会的知能」と深く関係しています。社会的知能とは、他者の感情や意図、社会的状況を正確に把握し、適切に対応する能力のこと。これは単なる「空気を読む」以上に、複雑な情報処理を伴う高度な認知スキルです。例えば、混雑した駅で人とぶつからないように歩ける、声を聞いただけで誰からの電話かわかる、部屋に入った瞬間「ここは私語禁止だ」と感じ取れる――こうした力を私たちは無意識に使っています。

SNSやスタンプでやり取りする今の時代でも、他者との円滑なコミュニケーションのために、この力は欠かせません。心理学は、人と人が心地よくつながるためのヒントを教えてくれます。この授業は，「話す力」だけでなく「伝える力」「感じ取る力」を伸ばす――そんなことに楽しみながらチャレンジしています。

（臨床心理学科）