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最近の興味関心:「ポジティブ感情を増やす心理療法~リカバリーを目指す認知療法~」(中村 聡美特任教授)


2026年3月17日
私たちは、自分の課題や欠点や嫌いなことに向き合うよりも、強みや長所を活かしたり、好きなことをしている時の方が生き生きとすると思います。特に、改善が見込めない難題に対しては、向き合い続けているうちにエネルギー切れになって、頑張ることを諦めてしまうこともあるでしょう。

心理学の世界では近年、「弱さを直す」だけでなく、「もともとある健康な力を伸ばす」ことを重視する考え方が着目されています。その一つが、リカバリーを目指す認知療法(CT-R)と呼ばれるものです。これは、落ち込みや不安、または精神的な不調を抱える人の中にも、興味や楽しさ、価値観といった前向きな側面が残っていることに着目して、それを少しずつ増やしていく心理療法です。たとえば、好きな音楽を聴く、何かを作る、誰かと話すといった体験をする中で、「楽しい」「集中できる」「自分らしい」と感じる体験を重ねていきます。

CT-Rでは、そのポジティブな体験を単なる気分転換で終わらせず、「それはあなたのどんな良さを表しているのか」「あなたにとって何が大切なのか」という意味を一緒に見つけていきます。そして、その大切なものが将来どんな役割や生き方につながるのかを考えることで、「こんな自分として生きていきたい」という希望が形になっていきます。心の回復とは、症状が減ることだけではなく、自分の中にある力や可能性に気づき、それを社会や人との関わりの中で活かしていく過程でもあります。好きなことや強みは、その回復を支える大切なエネルギー源です。

このアプローチは、患者さんだけではなく、健康な人々にも対象が広がりつつあります。高校生のみなさんにとっても、自分の弱点を直すことだけに目を向けるのではなく、「どんな時に自分らしくいられるか」「何を大切にしたいか」を手がかりに未来を描いてみることが、自分の生き方や価値観の発見につながるかもしれません。

教員プロフィール
中村 聡美 応用心理学部 臨床心理学科 特任教授 博士(心理学)
【所属学会】
日本心理臨床学会 日本認知療法・認知行動療法学会 日本カウンセリング学会 日本うつ病学会

(臨床心理学科)
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