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着任のご挨拶:濱口 佳和教授


2026年5月7日
4月より着任いたしました、濱口佳和と申します。専門は発達臨床心理学です。
大学院時代から一貫して、児童期を中心に幼児期から青年期までの子どもの心理・行動上の問題とそれに関わる要因について、基礎研究と心理臨床実践を行ってきました。

基礎研究では、児童・青年の攻撃性とその関連要因について多くの実証的研究に取り組み、いろいろ面白い発見ができました。例えば、他者の人間関係の操作、集団からの排除、陰口・よくない噂を広めて人を孤立させることは、心理学では関係性攻撃(relational aggression)と呼ばれています。日本では古くからなじみのある攻撃行動ですが、アメリカの大学と共同して比較研究を行った際、関係性攻撃の加害・被害による悪い影響は、アメリカの子どもよりも、日本の子どもの方で強く表れることがわかりました。これは、「和をもって尊し」とし、人間関係の中で自己を考える傾向が強いと言われる日本人の特徴が反映された結果のように見受けられ、日本の子どものいじめの問題を考える上で貴重な示唆を得た思いをいたしました。

また、心理臨床の実践では、家ではふつうに話せるのに、学校では全く話せない場面緘黙の子どもが、レコーダーに録音した自分の声をプレイルームでセラピストに聞かせることから始め、何年もかかって、最後には小声ながらも、様々な場面で自分から話せるようになっていった事例や、不遇な養育環境で育った子どもが、プレイセラピーで遊具類を部屋中に乱暴に散らかす遊びの果てに、大型の積み木で天井に届くような塔を築いた頃からよい変化を見せ始めた事例など、子どもが自分自身の問題に向き合い、乗り越えていくプロセスに立ち会わせてもらえたのは臨床家冥利に尽きる経験でした。

基礎研究と心理臨床実践の往還は、心理学徒にとっては究極の理想です。研究と実践の2足の草鞋を履き続けるのはなかなか骨が折れることでしたが、不十分ながらも、そうしてきたからこそ、見えてきた風景もあったかと感じています。

本学では、これまでの経験を、学部と大学院の学生の教育・研究指導に生かせるよう努力していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

(臨床心理学科)
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