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グローバルな視点を育てる国際学(1)「グローバリゼーション論」


2025年6月15日
現代のグローバル社会では、世界の多様な価値観についての理解に基づき、自国の社会・文化に対する認識を深め、外国の社会・文化を尊重し、国際関係や地球規模の課題に取り組んでいくことが求められています。国際学部では、そのような能力を養成するために、幅広い知識や、国際社会及び多文化への理解をもとに問題発見・解決力を身につけるカリキュラムが充実しています。このシリーズでは、そうした目標を実現する授業を一つひとつ紹介していきます。

グローバリゼーション論(3年選択科目)

担当教員:岡本 和彦教授
この授業で強調する点は、グローバリゼーションの持つ多面性です。一般的にグローバリゼーションは経済的な側面が強調される傾向があります。ヒト、モノ、カネ、情報などあらゆるものが国境を越えて行き交う世界で、私たちはいつでも欲しいものを購入し、世界共通のエンターテインメントを楽しむなど、その恩恵を享受しています。初回の授業で学生たちに「グローバリゼーション」のイメージを尋ねると、返ってくる答えはまさにそうした「光」の部分です。

しかし、グローバリゼーションは「影」の面も持ち合わせています。生活様式、制度のルール、行動を律する規範といったものが地球規模で統合され、グローバルスタンダード(世界標準)になることは簡単なことではありません。むしろ、画一化や価値観の押し付けに対しては、絶えず反発や逸脱が生じます。経済格差の極端な拡大や、人の移動がもたらす摩擦・軋轢を見ても、国家の主権や、民族や宗教を背景とした自文化へのプライドや尊重を求める姿勢がなくなることはなさそうです。

こうした観点をふまえ、この授業では、グローバリゼーションの進む今⽇の世界を、市場原理に基づきグローバル化を進めようとする「経済の論理」と、それに対して主権に基づき国益を確保しようと対抗する「国家の論理」のせめぎ合いとして捉え、それが文化・社会・環境といったさまざまな領域において光と影の側面をもたらしていることについて講義しています。最終回の授業で、初回と同じ問を投げかけると、学生の反応はずいぶん変わっています。グローバリゼーションの進む世界のプラスの面を生かしつつ、マイナスの面をどのように変えていけばよいのかといった視点を獲得し、必ずしも楽観的ではない見方をするようになっていきます。

また授業では、各種の雑誌からグローバリゼーションに関連する記事や論⽂を選び、それを互いに紹介しあう課題を行っています。自分が選ばないようなテーマも、他の学生の発表を通じて知ることで、グローバリゼーションについての見聞や認識を広げ、学⽣の主体的な問題意識の発掘につながっているように感じています。
論文紹介課題で学生が選んだ記事のタイトルから抜粋
『フォーリン・アフェアーズ・リポート』より
  • 「支離滅裂な関税政策 ―壊滅的な間違い」
  • 「アラブストリートの反乱 民衆の怒りが米外交を揺るがす」
  • 「韓国の核武装を認めよ ―北朝鮮の脅威とアメリカの干渉」
『世界』より
  • 「夫婦同姓という人権問題」
  • 「「民主韓国」と日本」
『中央公論』より
  • 「アメリカの暴走と日本の世界史的な使命」
  • 「トランプ「暴政」は民意に基づき長期化する」
  • 「ドイツ、そして欧州は米露に対抗できるか」
『Voice』より
  • 「米中のディールに取り残されるな!」
  • 「振り回される金融市場、日本経済の行方」
  • 「グローバルサウスから選ばれる国へ」
  • 「デジタル時代のグローバル労働市場」
  • 「グローバリゼーションと封建制」

(国際学科)
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