グローバルナビゲーションへ

本文へ

フッターへ

グローバルな視点を育てる国際学(3)「国際協力論」


2025年8月15日
現代のグローバル社会では、世界の多様な価値観についての理解に基づき、自国の社会・文化に対する認識を深め、外国の社会・文化を尊重し、国際関係や地球規模の課題に取り組んでいくことが求められています。国際学部では、そのような能力を養成するために、幅広い知識や、国際社会及び多文化への理解をもとに問題発見・解決力を身につけるカリキュラムが充実しています。このシリーズでは、そうした目標を実現する授業を一つひとつ紹介していきます。

国際協力論(3年選択科目)

担当教員:芳賀 克彦教授
この授業は、開発途上国が直面する経済社会開発上の諸課題とそれらの解決のための国際協力について、貧困、教育、母子保健、安全な水、都市環境、自然環境などのテーマごとに選定した国際協力プロジェクトの事例研究を通じて理解を深めることを目的にしています。毎回の授業では、私が以前、国際協力機構(JICA)に勤務していたときに関係していたプロジェクトを中心に調査報告書の内容や映像資料などを使いながら講義を進めますが、開発途上国の政府や地域住民が国際協力を活用しつつ個別具体的な問題をどのように改善・解決しようとしているのか、これらの国際協力は地域社会にどのような経済的社会的インパクトを与えているかなどについて考察することに主眼を置いています。
先日は、開発途上国の農村地域の貧困削減・経済活性化の取組みとして、中央アジアのキルギスで実施された「イシククリ州コミュニティ活性化プロジェクト」を事例研究として取り上げました。キルギスはかつて旧ソヴィエト連邦を構成していた15の共和国の一つですが、東西冷戦の終結を背景として1991年に同連邦から独立後、市場経済化を目指しています。経済社会改革により農地の私有化などが進められましたが、農村コミュニティでの生産活動が低迷しており、同問題に取り組む同国イシククリ州政府に対しJICAは日本の「一村一品運動」の考え方を提案し、本プロジェクトが開始されました。同国の伝統産業は羊毛を素材とした手編みじゅうたんの生産ですが、農村女性のグループはこの伝統技術を活かして様々なデザインのフェルト商品を生産しています。今では現地の天然素材を活かした石鹸、美容クリームなども生産し、「イシククリブランド」として無印良品のネット通販により世界で販売されています。大分県で始まり全国に広がった一村一品運動、JICAと無印良品の連携などについて学生からは「一村一品運動を初めて知った」、「日本の経験が役に立ったことを知ってうれしく思った」、「民間企業との連携をもっと促進すべき」など多くの感想・意見が寄せられました。

フェルト商品(筆者撮影)

農村女性の生産活動(筆者撮影)

(国際学科)
  1. ホーム
  2.  >  国際学科からのお知らせ
  3.  >  グローバルな視点を育てる国際学(3)「国際協力論」
資料請求・デジタルパンフ