グローバルな視点を育てる国際学(6)「表象文化研究」
2025年11月15日
現代のグローバル社会では、世界の多様な価値観についての理解に基づき、自国の社会・文化に対する認識を深め、外国の社会・文化を尊重し、国際関係や地球規模の課題に取り組んでいくことが求められています。国際学部では、そのような能力を養成するために、幅広い知識や、国際社会及び多文化への理解をもとに問題発見・解決力を身につけるカリキュラムが充実しています。このシリーズでは、そうした目標を実現する授業を一つひとつ紹介していきます。
現代のグローバル社会では、世界の多様な価値観についての理解に基づき、自国の社会・文化に対する認識を深め、外国の社会・文化を尊重し、国際関係や地球規模の課題に取り組んでいくことが求められています。国際学部では、そのような能力を養成するために、幅広い知識や、国際社会及び多文化への理解をもとに問題発見・解決力を身につけるカリキュラムが充実しています。このシリーズでは、そうした目標を実現する授業を一つひとつ紹介していきます。
表象文化研究(3年次選択科目)
担当教員:佐藤 未央子准教授
この授業では、文学作品の翻案(アダプテーション)について学びます。作品としては、芥川龍之介「羅生門」「藪の中」、志賀直哉「流行感冒」、谷崎潤一郎「春琴抄」を取り上げます。小説と映像を比較してディスカッションを行い、改変によって生まれた効果や、主題の変化について検証します。翻案という行為によって、原作が新たな表情を見せることを体感しながら学んでいきます。
芥川龍之介「羅生門」「藪の中」では、原典となった『今昔物語集』の説話とも読み比べます。まず「羅生門」は「羅城門登上層見死人盗人語(らせいもんのうはこしにのぼりてしにんをみるぬすびとのこと)」をベースに物語が構築されていますが、「大刀帯陣売魚嫗語(たてはきのぢんにいををうるおうなのこと)」から設定を借りた部分も見られます。「藪の中」は「具妻行丹波国男於大江山被縛(めをぐしてたんばのくににゆくをとこおほえやまにしてしばらるること)」を元にしていますが、小説ではある殺人事件に関わった人物たちの証言を中心として構成されるなど、芥川の工夫が見受けられます。
そして黒澤明監督の映画『羅生門』(1950年)は、「羅生門」の舞台設定を借りつつも、物語の筋は「藪の中」を主体としています。『羅生門』では、3人の男たちが羅生門の下に集まり、殺人事件をめぐる証言について話し合う形にリメイクされています。
「流行感冒」は、大正時代のインフルエンザ(スペイン風邪)流行とそれに翻弄される人物が描かれた小説で、新型コロナウイルス流行下の2021年にNHKでドラマ化されました。ドラマは原作に忠実に映像化されていますが、コロナ禍を思わせる要素も付け加えられています。
この授業では、文学作品の翻案(アダプテーション)について学びます。作品としては、芥川龍之介「羅生門」「藪の中」、志賀直哉「流行感冒」、谷崎潤一郎「春琴抄」を取り上げます。小説と映像を比較してディスカッションを行い、改変によって生まれた効果や、主題の変化について検証します。翻案という行為によって、原作が新たな表情を見せることを体感しながら学んでいきます。
芥川龍之介「羅生門」「藪の中」では、原典となった『今昔物語集』の説話とも読み比べます。まず「羅生門」は「羅城門登上層見死人盗人語(らせいもんのうはこしにのぼりてしにんをみるぬすびとのこと)」をベースに物語が構築されていますが、「大刀帯陣売魚嫗語(たてはきのぢんにいををうるおうなのこと)」から設定を借りた部分も見られます。「藪の中」は「具妻行丹波国男於大江山被縛(めをぐしてたんばのくににゆくをとこおほえやまにしてしばらるること)」を元にしていますが、小説ではある殺人事件に関わった人物たちの証言を中心として構成されるなど、芥川の工夫が見受けられます。
そして黒澤明監督の映画『羅生門』(1950年)は、「羅生門」の舞台設定を借りつつも、物語の筋は「藪の中」を主体としています。『羅生門』では、3人の男たちが羅生門の下に集まり、殺人事件をめぐる証言について話し合う形にリメイクされています。
「流行感冒」は、大正時代のインフルエンザ(スペイン風邪)流行とそれに翻弄される人物が描かれた小説で、新型コロナウイルス流行下の2021年にNHKでドラマ化されました。ドラマは原作に忠実に映像化されていますが、コロナ禍を思わせる要素も付け加えられています。
「春琴抄」は、盲目でありながら音曲の才能がある春琴と、彼女に仕えた弟子であり恋人の佐助という二人の生涯を語った小説です。これまでに6度も映画化され、舞台化や漫画化もされるなど、さまざまな形で翻案されてきました。
以上の取り組みに加えて、学生にはそれぞれ独自に、関心のある翻案作品について調査してもらいます。翻案は世界にも様々な作品があり、国によって文脈が異なってくることもあります。各作品の比較分析を通して、それぞれの時代背景や文化についての見識を広げていくことも本授業の目標です。
以上の取り組みに加えて、学生にはそれぞれ独自に、関心のある翻案作品について調査してもらいます。翻案は世界にも様々な作品があり、国によって文脈が異なってくることもあります。各作品の比較分析を通して、それぞれの時代背景や文化についての見識を広げていくことも本授業の目標です。
