グローバルナビゲーションへ

本文へ

フッターへ

大國 ゆきの


大國 ゆきの(おおくに ゆきの:東京成徳短期大学 幼児教育科)
主な担当授業名:発達心理学・発達心理学演習・心理検査法
専門:発達心理学・発達臨床学

「心」があるという意識はどのように育つのか

「心の理論」と mind-mindedness

皆さんは今、「心」というものがあると考えているでしょう。しかし生まれたばかりの子どもはそうではなく、子どもは、およそ4歳頃に「心の理論」を獲得する、つまり、人の行動を心の存在を前提として考えられるようになるということがわかっています。たとえば誰かが物を探すとき、それがどこにあると考えているかによって探す場所が変わることがわかるのが4歳頃です。いっぽう、私達は赤ちゃんと関わるとき、その気持ちを想像して接しています。赤ちゃんが何かに視線を向けていれば「これが好きなの?」「欲しいの?」と問いかけ、ウックンウックンと発声していれば「ごきげんなの」「気持ちいいねえ」などと話しかけるのです。このように幼い相手に対して心を持つ存在として対応する行動のしかたを mind-mindedness(以下 MM)と呼びます。

心ある存在として扱われることの大切さ

子どもの「心の理論」の発達には個人差があります。MMにも個人差がありよく行う人とあまり行わない人がいます。そして母親のMMが低いと子どもの心の理論の発達が遅いということがわかっています。赤ちゃんの頃から心を持つ存在として対応してもらってきた子と、どんな気持ちかをあまり読み取ってもらえなかった子とでは、他者の心の理解に差が見られるということです。子どもが育てられる過程で、周囲の人間から「心を持つ存在」として扱われ、どんな気持ちかを考えて対応してもらうことが、子ども自身が他者を「心の持ち主」として理解することにつながるということがわかりますね。

幼児期に有効な運動指導

訓練された子の方が運動を苦手としている…?

2010年に「小学校以降の体育の授業を先取りするような運動指導を多く行っている幼稚園や運動の内容やルールを指導者が決める程度が大きい幼稚園ほど園児の運動能力が低い」という研究結果が発表されました。
園児の運動能力が高かった園では運動をしていなかったわけではありません。運動を含む、子どもが自分たちで考えて自由に遊ぶ活動を重視していたのです。

乳~幼児期の運動発達の特徴と運動コントロール能力

胎児期から乳児期初期には反射的な運動が中心的です。次いで乳児は体を自分の意志で動かそうとし始め、まず初めに発達するのが、直立二足歩行と手の操作です。その後「基礎的な運動の段階」に入ると、走る・跳ぶ・滑る・投げる・蹴る・打つといったさまざまな体の動きが身についていきます。自分の体がどのように動くのかを試しながら、人間の持つ運動パターンのすべてを習得するこの時期は2歳から 6・7歳にあたり、ちょうど幼児期に相当します。
幼児期の運動指導では、さまざまな体の動きのパターンとそのバリエーションを経験させることによって運動コントロール能力を高めることが大切です。幼児期に身につけた高い運動コントロール能力が、さまざまなスポーツに取り組んだ際にスムーズに上達して高いレベルに達するための基礎となるからです。
幼児期は筋トレなどの効果は小さく、特定の運動技能を繰り返し練習するよりも、すべての運動の基盤にあたる幅広い活動を経験することが適切です。

遊びとしての運動

遊びとは自ら望んで活動する内発的に動機付けられた活動です。プログラムを決められた受動的な運動ではなく、自主的に遊びとして行う身体の動きの経験が子どもの心身を総合的に発達させます。運動能力の発達にも、自ら楽しみ工夫して行うという主体的・能動的な心のあり方が大きく影響しているのです。
  1. ホーム
  2.  >  東京成徳の心理学
  3.  >  大國 ゆきの
資料請求・デジタルパンフ