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菊池 春樹


菊池 春樹(きくち はるき:応用心理学部 臨床心理学科)
主な担当授業:発達臨床心理学、コミュニケーションの心理学、臨床心理学実習
専門:発達障害、子どもと養育者の関係

「いたいのいたいのとんでいけー」を科学してみた

人生最初の心理療法?

「いたいのいたいのとんでいけー」にボクが注目したのは、物理的な痛みの治療は何もしていないのに、痛みがやわらぐという、この現象は、まさに、人生で誰もが経験しうる最初の 「心理療法」なのではないか?とふと思いついたことがきっかけでした。

「いたい」のさまざまな実証研究

脳科学者のダマシオ先生日く、「『痛みの情動』と『痛みの感覚』は別のもの」。情動は生理的なものですから、「痛い」という反応がある。でも、感覚としての「痛い」は、背景にあるイメージの変化に伴い、「痛い」感情を変化させるというのです。心理学者のデインさんは、注射の時の母子を観察して、「母親の『侵入的なかかわり』は、子どもの痛みへの反応を大きくし、苦痛の調整を妨げる。一方で、母親の『敏感性があり情緒的応答性のあるかかわり』は、苦痛の調整を助ける」という研究結果を発表しました。ボクが行った調査でも、「いたいのいたいのとんでいけー」は、子どもの話を傾聴しながら、痛みに共感することで、痛みの軽減に有効に機能する。逆に、子どもが泣いているのに耐えられないストレス軽減のために行われると、ネガティブな感情を伴う。」ということが確認できました。

今後の研究課題

ところで、不適切な養育の下で育った子どもとのセラピーにおいて、ぬいぐるみや人形を「傷つける」遊びが観察されることはよく知られています。セラピーが進んでいくと、子どもは安全や安心な感覚を得て、傷ついたぬいぐるみを「ケア」する遊びを始めます。「傷つける」連鎖を、「いたい」他者や自分に共感し受け止め、「とんでいけー」と「ケア」していく、その転換点、詳細を探っていくのが、 これからのボクの研究課題です。

石と友達になる!?

投影法としての「石と友達になる!?」

「これから、みなさんに石と友達になってもらいます。」「こころの科学」という雑誌で杉山さんが紹介していたこのワークを、もう5,000人ほどに体験してもらっています。
「まず、1分間、石とお話してもらいます。」みなさん、不思議がりながらも結構まじめに1分間、石と話してくれます。そこには、いろいろな心が映し出されるようです。
「ロックくんです。ごつごつして骨太で、強い意志を持っています。」
「石田です。控えめで受け身で、菊池先生にここまで何も言わずについてきました。」こんな石のお友達の紹介文が並びます。

コミュニケーションとしての「石と友達になる!?」

「それでは、友達になった石について、お隣の人間の友達に紹介しあって下さい」
最初は、作った紹介文を読みあうだけの時間ですが、自然と「ロックくん、何歳ぐらいなの?」「石田さんには年齢聞いちゃだめだよ」と共創造の物語ができていきます。共有できる物語は、コミュニケーションの醍醐味です。

個別化としての「石と友達になる!?」

石を集め、ひとまとめにします。20分ほど講義して、「友達になった石と再会して下さい。」と促します。 講義のテーマは、そのBによって、発達障害だったり、非行少年だったりします。
意外かもしれませんが、100人の講義でも迷子になる石は数名程度。ほぼ5,000人のこれまでの体験者のうち、ほぼ 4,900人は再会できてしまいます。
「石が1つ1つ違うなんて考えたこともなかった。」 そんな気づきに、さらに説明を加えます。
「人間は1人1人違うと分かっているはずなのに、発達障害や非行少年を一括りにしていませんか?発達障害があっても、非行を犯したことがあっても1人1人違います。」
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