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田中 速


田中 速(たなか はやし:応用心理学部 臨床心理学科)
主な担当授業:精神疾患とその治療、犯罪心理学、医学概論
専門:司法精神医学 依存症臨床領域 依存症 行動嗜癖

司法精神医学とは

インフォームドコンセント

一昔前には、胃がんと診断されている患者に「胃潰瘍の手術だから」と説明して手術をすることがありました。でも今ではそのようなことは(ほとんど)ありません。今日の医療では、患者は自分がうける治療について十分な情報を提供され、その上で治療をうけるかどうか自分で決める権利が尊重されています。このような原則をインフォームドコンセントといいます。

精神科臨床とインフォームドコンセント

不眠やちょっとした気分の落ち込みでメンタルクリニックにかかるのは珍しいことではなくなりました。ほとんどの場合にはインフォームドコンセントの原則は精神科臨床でも適用されます。でもインフォームドコンセントを適用することで患者本人や社会に不利益をもたらしてしまう事が精神科ではしばしばあります。インフォームドコンセントの例外になるのはどういう場合なのか、それをどのような行政や司法の手続きで行うのかを考えるのが司法精神医学です。

精神科臨床と司法精神医学

具体的にはどのような条件でインフォームドコンセントの例外が認められるのでしょうか。患者さんが病気のために重大な事件をおこしてしまったような場合もあれば、患者さんに自殺の心配があるような時もそうです。司法精神医学が役に立つのは何も特別な事件がおきた時ばかりではありません。普通の臨床や福祉の仕事をする上でも役に立つ知識だと思います。

ギャンブルと日本人

ギャンブル障害

薬物やアルコールの使用を自分でコントロールできなくなるのが依存症です。最近は物質使用障害と言います。
ギャンブルは「物質」ではないのですが、ギャンブルをする人の中には、
①だんだん少ない賭け金では満足しなくなる
②ギャンブルに使う金額が増えて社会生活に支障をきたしてくる
③それでも自分でギャンブルをやめられない
ようになる人がいます。
これらの症状はアルコールや薬物の物質使用障害とよく似ていることがわかってきました。最近つくられたアメリカの診断基準では、ギャンブルをやめられないことは「ギャンブル障害」と診断され、物質使用障害と同じ病気のグループに分類されることになっています。

日本人はギャンブルが好き?

一生のうちに一度でも大麻や覚醒剤などの薬物を使ったことのある人は、アメリカでは人口の約4割、オーストラリアでは約3割にのぼるそうです。日本では薬物を使ったことのある人は人口の2%くらいしかいません。一般に薬物やアルコールなどの物質使用障害は日本よりも欧米で多いのですが、ギャンブルに関してはその反対に日本の方が欧米よりも何倍も多いようなのです(成人男性の約9%!)。
これはなぜなのでしょう。日本人にはギャンブルにのめり込みやすい心理的・生理的傾向があるのでしょうか。それとも環境の違いのためなのでしょうか。
最近のカジノ合法化の議論とも関連してこれは大事な問題となっています。この問題には私たち日本人が答えを出さなくてはいけません。少しずつ研究を進めています。
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