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馬場 康宏


馬場 康宏(ばば やすひろ:東京成徳短期大学 幼児教育科)
主な担当授業:教育心理学、保育内容研究(人間関係)、青年心理学
専門:教育心理学、学校心理学

「遊び」って何だろう?

「遊ぶ」ことは好きですか?

皆さんは子どもの頃、どのような遊びをしていましたか?遊ぶのは好きだったでしょうか?この問いにはおそらく100%の人が「好き」と答えるでしょう。それもそのはず、もともと遊 びとは、自発的に行われその行動を楽しむこと自体が目的になっている活動を指します。自分の意思で興味あるしたいことをするのが遊びです。
一般的に遊びという言葉は「学業や仕事」に対する「遊び」のように、本来しなければならない活動の反対側に位置するものとして捉えられます。その一方で「子どもは遊びが仕事」という表現も見られます。人の発達における遊びの大切さをうまく表した言葉です。

昭和の時代の思い出

私が小学校3,4年生の頃だったでしょうか。当時、短期間でしたが私たち男子の間で馬乗りという遊びが流行りました。地域によってルールやよび方に多少違いはあるでしょうが基本的には以下のような遊びです。
  1. 馬側と乗り手側の2チームに分かれる(大体1チーム5~9人くらいになった)
  2. 馬側はまず一人目が壁に立ち、その足の間に二人目が頭を入れて馬になる。三人目以降も同様に馬になって連なる。
  3. 乗り手側は一人ずつ順番に、後方から馬に飛び乗る。
  4. 馬側は途中で崩れたら負け。乗り手側は馬から落ちるか地面に足や手をついたら負け。
  5. 乗り手側が全員馬に乗った時点で勝敗がついていなければじゃんけんをする。
この遊びで勝つためには、作戦を立てることが重要でした。乗り手側は相手の馬を崩しやすく、かつ全員が乗れるように飛び乗らなければなりません。チームの仲間には体重の軽い者や重い者、遠くまで跳べる者や跳べない者、高く跳べる者や跳べない者など個々の特徴もさまざまです。勝つために一人ひとりの役割を決め、全貝の特徴がうまく生きるように跳ぶ順番を工夫しました。私たちは互いの違いを全て戦略面に生かそうとしました。
今にして思えば、誰も怪我をしなかったのが不思議なくらい荒っぽい遊びでしたが、そこは昭和の時代のお話です。授業終了のチャイムと同時に喜々として廊下や校庭に駆け出してこの遊びに興じていました。遊び自体はもちろんのこと、互いの存在を尊重しあえる友達関係がとても楽しく、心地よかったことが思い出されます。

規範意識は「遊び」で育つ!?

小中学生の規範意識

近年の子どもは規範意識が低いとの指摘があります。小中学生を対象としたある調査によると、身近な少数の「友達」との関係は大切にするが、 より広く「みんな」となるとその意識は低下し、クラスの仕事や決まりを守ることに対して意識の低い子どもが多いことがわかりました。また、 規範意識が低い子どもの特徴として、周囲の人に受け入れられていないという気持ちが強いこともわかっています。このような実態を知ることで、どのような学級の雰囲気が作られていくか予測もできますし、また、改善するためのヒントも得られそうです。

幼児の遊びと規範意識

幼児期においては年長児クラスにもなると、自分たちで①友達と一緒に行う②ルールがあり③勝ち負けのある遊びを進め、盛んに楽しむ姿が見られます。例えば、ドッジボール、鬼ごっこ、トランプなどです。このような遊びを行うには、身体を思ったように動かしそれを楽しめる身体運動能力、意思疎通のためのコミュニケーション能力、人と一緒に何かをする時に必要な自己主張や自己抑制機能の育ちなどが必要です。
また、当然ながらルールのある遊びでは、ルールを守ることが要求されます。これが崩れてしまうと遊び自体が成立しなくなります。つまり、このような遊びの中でも規範意識は必要になるのです。
このように幼児期の遊びは、さまざまな側面の発達に支えられて成立します。また、人と一緒に遊んだり生活をしたりする過程で、ルールやマナーの必要性についても具体的な体験を通した気付きが促されます。

教育と心理学

教育の場においても、心理学の視点から子どもの実態を分析・把握したり、人の発達や適応にとって望ましい体験や活動を提案したりすることが可能です。
例えば学校心理学の分野では、学校や学級における望ましい人間関係のあり方を体験的に理解するためのプログラムの開発、効果の検証がなされています。また、学校の中で苦戦している児童生徒を多角的に捉え、さまざまな援助資源を用いて支援する取組と研究がなされており、成果を上げています。
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